陣場町日記3〜身から出た錆

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信じたかった自分。

相反して疑ってたのが本音。

分かっていたけど悲しい。

近いとうっとしいのにいなくなると寂しい。

助け舟はちゃんと出したよ。

嘘で塗り固められた泥舟で帰ってきたけど。

事の顛末は意外にも呆気ない。

1つのシャボン玉が弾けて飛んだ。

ただそれだけだ。

俺が高校1年生のクリスマス。

初めてちゃんと付き合った彼女とのデート。

お互い経験がない「ウブ」な2人にとって大事な晩。

高校も行かずにスーツ着て塾で働いてたお前。

西口でたまたま会って当時の彼女と3人でラーメンすすった日を思い出す。

「お前らにとって今日は大事な日か。こんな日くらい2人でちゃんと楽しまねーとだな。俺からのクリスマスのお祝いだ、ホテルでも行って良い夜にしろよ」

受け取った1万円。

初めてのホテルで、初めての経験できたあの日は一生忘れない。

あの頃のカッコいいお前はどこに行っちまったんだよ。

俺が今の仕事を始めて丁度半年のハタチの頃。

毎日外でキャッチしてた時、近場の串焼き屋に1人で毎日キャバ嬢の彼女を待ってたお前。暇してるならうち来いよって飲み屋の世界に誘ったのは俺だったな。

短気だけど頭がキレるお前。プライドが高かった俺と冗談抜きで2日にいっぺん喧嘩。

営業中店内で客がいるのに殴り合いして街中にお店の悪評たてたのが懐かしいよ。

1日口聞かないとかザラでさ、もうお店の雰囲気最悪よね。

そんな日は営業終わってからぶつかり合って握手で仲直り。お互い若かったな。

取っ組み合いして俺のワイシャツがボロボロになった次の日。

ぶっきらぼうな顔してさ、

「サイズわかんねーけどこれやるよ」

新品のワイシャツ買ってよこした「ごめん」の一言が言えないブキッチョなお前の優しさ。

あの頃のカッケーお前はどこにいっちまったんだよ。

捨てる神あれば拾う神あり。

クビになってすぐに他所の店で働き出して24歳の頃自分で店立ち上げたお前。

同い年で自分で店やって正直嫉妬してたよ。

一緒に働いてる頃からお前の能力と自分比べて何度も何度も落ち込んでさ、なんでお前に出来るのに俺にできねーんだよって。

他人と比較しない。自分には自分の良さがある。

同業として戦友になったお前から教わった。

だから俺は今も地に足つけて踏ん張ってる。

しのぎを削り合った戦友は死んだ。

鞘の中の刀の手入れをしとけば錆びることもなかったのにバカだよマジで。

本当に今のお前クソだせーよ。

ごめんって言えるくらいプライドなくせたのに何してんだよ馬鹿野郎。

何が嘘で何が本当か分からない。

いや、結果的に実際はほとんどが嘘だったんだけどさ。

俺に心残りはない。

ほっとかないで良かったよ。

最後に腹割ってサシで喋れたから。

あの日言ってくれた「ありがとう」だけは絶対嘘じゃない。

戦友のお前は死んだけど友達としてはまだ生きてる。

pay for the crime.

いつの日かまた会える。


J-REXXX/あの頃