陣場町日記2〜30歳になるの巻〜

リンクユニット

こんばんは。

去る6月15日、俺は30歳を迎えた。

20代と30代、響きが偉く違う。

そう、世間の見る目がガラリと変わる30代。

30歳はまだ若いという人。

30歳にもなったんなら焦らないとマズイぞという人。

俺はどちらかというと気持ちに余裕があるわけではないから焦ってる方かもね。

昔を振り返ってみたよ。

プー太郎の俺はキャバクラのボーイのバイトを始めた。

最初はやる気もなかったが今まで知らなかった飲み屋の世界、仕事は真面目にこなした。

年上のキャストにけちょんけちょんに罵られながらも早く仕事を覚えて認められたいと思ったのが一番初め。

22歳の時に店を任されとにかくがむしゃらに突っ走ってきた。

飲み屋のキャリアが短いガキの俺に指示されるのが気に食わないと歳上のキャストは辞めていき、スカウトでキャストを一からかき集めた。

ヤクザや輩が出入りする客層をガラリと変えたくてお店に入れるお客さんも選んできたから誰もお客さんが来ない日もあり頭を抱えたこともあった。

若気の至りでお客さんに歯向かったことがあったが自分なりに仕事としての筋は通したかった。

そのお客さん達が後日、この前はごめんなと飲みに来てくれた時は自分のしたことは間違いじゃなかったと確信できたし心から嬉しかったのを覚えてる。

店長という職で店全体をまとめることに悩みに悩んだ。

沢山の壁にぶち当たり、白髪も増え、時には眠れない日もあったっけな。

あれは26歳の時。

お店の売上が順調に右肩上がりになった頃、多忙な毎日と多くのキャストに囲まれ俺は調子に乗ってた。

「俺のおかげで店が良くなったんだ。今の店を作ったのは俺なんだ」って。

調子に乗った勘違いの天狗の鼻はその時のナンバーワンの子にへし折られた。

「売上上げてるのは私たちなんだけどなにをそんな我が物顔でいられるわけ」

キャストやボーイがみんないる中、オーナーに説教をされ言われた。

「お前がなんでキャバクラで主役になってんだよ。女の子のモチベ上げて働きやすい環境作るのがお前の仕事であって勘違いすんな。お前は上から人を見過ぎだ。下から上を見る気持ちを忘れてる。お前の持ってるクソみたいなプライドなんてなんの役にもたたねーから。今日から店長の肩書きを一回忘れてボーイの仕事をしろ。キャストの子はコイツと口を利くな。」

公開処刑ってやつ。

有頂天からドン底に叩き落とされた。

その日を境に誰と喋るわけでもなく、お店の掃除、片付け、洗い物の雑務に励み、トイレ掃除を黙々とやった。

その時働いてたボーイは中学からの同級生なんだけど、キャストの子達と楽しそうにしてるように見えた。

「あー、コイツは俺のこと普段こう見えてたのかなぁ」

正直当たり前だと思ってた日常の光景が羨ましかった。

出口の見えないトンネルを彷徨う毎日。

ある日、みんながラーメン食べたいと言い出したからボーイに1万円を渡した。

ホントは俺も一緒に行きたかったけど俺はみんなといまだに口を交わすことができなかったから1人店でトイレ掃除をしてた。

自己中心的な考えをしていた俺の身から出た錆。

だけど、とてつもない虚しさ。

自分を磨くつもりで便器をこすりながら奥歯を噛み締めた。

そんなあくる日の出来事。

俺とほぼ同期の1つ上のキャストに言われた。

「色々大変だと思うけど私が今まで働いてこれたのは店長がいたからだよ。私はついてくよ」

この言葉、当時の俺にはとても突き刺さった。

どんだけ救われたことか。

下から上を見る気持ちで物事を捉えることで前より人の気持ちを考えられるようになった。

確かにがむしゃらに店作りに励んできたけど、今この環境があるのは周りがあってなんだよな。

それに気付くことができた。

その頃から自然とキャストの子達と話すようになっていた。

「店長がいたから働いてこれた。」

この言葉がなかったら違ったかもしれない。

その子は今も働いてくれてるよ。

その時に覚えた言葉がある。

「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」

人として大きくなればなるほど謙虚な姿勢でいることが大事という意味だ。

気付けばこの仕事を始めて10年。

俺は店の為に、女の子の売上の為にとキャストが飲めないシャンパンを飲むのがいつしか当たり前となっていた。

売上を上げたとこで俺の給料にはならない。

俺と飲んで満足してくれるお客さんがいるなら、女の子の手助けになるならそれで良かった。

ただひたすら、場面で俺がサポートしてあげれることに尽くした。

ギブアンドテイクより、ギブアンドギブの方が価値があると思ってたから。

慣れとは怖い。

そして、人は平気で手のひらを返す。

人の気持ちを動かすことは難しい。

店の為に、女の子の為にやってきたことが果たして合っていたのか今の俺には分からない。

人の気持ちを考えてやってきたからこそ、人の気持ちを考えられない人は目立ってみえる。

もちろん俺も完璧とは程遠い、未だに失敗するよ。

30歳を迎え沢山の人にお祝いして頂き、浴びるほどシャンパンを飲んで身体が悲鳴を上げている。

ありがたい、とてもありがたいんだけど俺は一体なんの為にお店で飲んできたのか。

身体や気持ちの面で損してるのはいつもお人好しの俺であってバカみたいと思うこともある。

こう思ってる時点で本音はギブアンドテイクを求めていたのかもしれないね。

大事な事に気付いた。

人に期待しないことってすげー重要なことだなって思う。

人にテイク、要は見返りを求めてるから自分の期待通りにならなかった時に腹が立ったり落ち込んだりするもんだよね。

他人を変えることはできない。

自分の思い通りに人を動かすことはできない。

まずはこれをしっかり認識しないと自分がバカを見る。

だけど、人の気持ちを動かしたければ相手に何かを与え続けないと。

与え続けた結果、思い通りにいかない結果であればそれはそれで仕方がないことなのかもね。

だって自分で変わりたいと思っていても他人に自分を変えられたいと思ってる人間はいないと思うから。

みんな違ってみんないい。

金子みすゞのこの言葉、シンプルだけど忘れちゃいけないな。

周りがあっての今の自分。

それは未だに変わらない感情。

だけどいつまでもこれでいいのか?

5年、10年先も同じことをやっていると想像した時に自分の理想としていた姿とは違う。

30代は人生のスピード感が変わるらしいけど、乗り遅れるかもしれない、乗りこなせないかもしれないんじゃないか。

それを証明するのは自分の行動次第。

ネガティブな内容に見えたかもしれないが今の感情をこのブログに書き殴り、後から見返した時に成長したなと思える自分でいたいからこそこのブログに綴る。

節目の30歳、正直な自分。

今は少しナイーブだが、本当になりたい自分は一体なんなのかをもうしばらく模索してみたい。