俺は10年前に水商売の業界に入り、今日に至るまで同じ店で働き続けている。
地方の小さな規模のお店だ。入った当初は平日にスパークリングワインのポンパドールのオーダーがあっただけでテンションが上がったあの頃が懐かしい。
時代と共に常識や流れが変わり、今では10万以上もするシャンパンを開けてもらうのも珍しくないくらいお店は成熟した。
キャストの努力もあり、お客様にも恵まれた今の環境をありがたくも思うし時間をかけてお店作り努力してきた結果だと満足するわけでもなく、先行きが不安になることがあるんだよね。
お客様にお金を遣わせるのがキャバクラの仕事なのか?
もちろんそうなんだよ。
そうなんだけど遣わせ方に不安を感じる時があるって話。
キャバ嬢は自分の指名客がいくら遣うかでお店でのナンバー争いや給料にも大きく関わるから相手の財布の紐が緩んだ瞬間は決して見逃さない。
しかしだ、
お客様にただお金を遣わせて自分の売上や給料を上げることが目的になっていないか?
つかってもらってナンボの世界。
だけどお金を遣ってもらうことが果たしてキャバクラの仕事の本質なのだろうか。
サービス業忘れるべからず!
有名なキャバ嬢のメディアの露出が増えたことでその華やかしい姿に憧れを抱く子も多いと思う。
数日で数億の売上を叩き出す等もはや別世界であっぱれとしか言いようがないが、それを形だけでも真似ようと必死になるのはちょっと違う。
バイト感覚の給料泥棒。
パンクするまで遣わせるだけ遣わせて客を金でしか見てない子。
酔った勢いで調子に乗って指名客に愛想尽かされた子。
悪い例を上げたがこのようなタイプの子達を見てきて共通すること。
自分のことしか考えていない。
自分さえ良ければいい。自分さえ稼げればいい。
エゴイストという言葉がぴったりだね。
一躍有名となったキャバ嬢達は、とてつもない努力とそれに見合った環境がうまく重なって成せたことであって、自分のステータスの為に真似をしたところでいずれはめくれる。
キャバクラという“夢を売る場所”で働く我々がプロとしてお客様に提供しなければいけないサービスとは一体なにか。
この記事は人が溢れる繁華街で働いてる人達にはどうでもいい内容かもしれない。
人がいる分新規が沢山入るしお金を稼いでる人が集まるからね。
加えてこの仕事を単なる稼ぐ手段と考えているのであればこの記事は説教臭く聞こえるだろうからブラウザバックしちゃってね!
お客様に長く指名で通ってもらいたい。
本気で売上を伸ばす為にはどうしたらいいか悩んでる子のちょっとした参考になればそれでいい。
キャバ嬢の仕事の本質とは
俺の働く店の規模は決して大きくない。
夜の遊び場が飲み屋しかないような田舎だから平日なんて人が大して歩いていない。景気も良くない分高いイメージのあるキャバクラにはなかなか足が向かないのが今の現実。
その割に飲み屋の数が多い激戦区で常にお客さんの奪い合い。
小さい街で生き残るにはいかに常連様を多くつけれるかがテーマの1つとして営業しているからこその考えであって、都会で働いていたら今の思考は生まれていないかもと最初に補足しとくよ。
では、俺が考えるキャバクラの仕事の本質とは何か…。
それはズバリ!
美味しいお酒を飲んでもらう。
これに尽きる。
当たり前かもしれない。けど履き違えてる子が多い。
何を飲むかじゃない。誰と飲むか。
食事と一緒でお酒もシチュエーションによって美味しくも不味くもなるもんだ。
気分良く飲んで頂く=楽しい証拠
楽しければ財布の紐が緩むのが人の性。
しかし仕事の本質を忘れてしまう子が多いこと多いこと。
お客様より自分が楽しくなってしまう
この仕事にお酒はつきものであるため女の子が営業中に酔うことはよくある。
酔っ払うくらい頑張って飲んだことはキャストを扱う身としてはもちろん敬意を表する。
しかし酔った時にボロを出すことで失敗と反省を繰り返す子もいるんだよね。
忘れちゃいけないのが、その姿をお客様に見られてるということだ。
酔った勢いはキャバ嬢にとっては諸刃の剣。
普段よりも大胆な言動ができてしまう。
うまくハマれば短時間でとてつもない売上を叩くこともできるがそれはお客様とキャストの利害が一致した時だ。
お客さんとの間にテンションの温度差が大分あるにも関わらず
「シャンパン飲みたーーい!」
「私のこと好きならこれ入れてーー!」
「空いたからもう1本いっちゃおーー!」
こんな会話を目にするとヒヤヒヤする。
特に大胆な発言を許してくれる優しいお客さんに対して目に付くことが多い。
押しに弱い人もいれば、男の見栄が邪魔して断れないお客様だっているんだよね。
きっとそのお客様は家路に帰る途中
は〜、遣いすぎた。
ため息をついてるんではないか?
目先よりも長い目で
お客様もバカではない。
この子が好きなのは俺じゃなくて俺のお金か。
お金をどう遣うかはあくまでお客様の自己責任であって一概にキャバ嬢が悪いとは思わない。
嫌ならハッキリNOを突き付ける権利がお客様にはあるからね!
そう思われたらもうお店には来ないだろう。
キャバ嬢が必死になる気持ちは理解している。
仕事でもスポーツでも結果が全てだ。
キャバクラは売上を上げれる子が大事にされる世界であって、売上も上げれない子が文句を言ったところで相手にされない。
じゃあ自分の目先の売上の為にお客様に無理をさせてもいいのかと言ったら全く違う。
手段を選ばず結果だけを追い求めた先に待っているのは達成感よりも孤独ではないだろうか。
コツコツでもいいからお客様を思い遣る気持ちを持って接客していれば長い目で見た時に必ずそれは大きな結果に繋がることを俺は確信している。
自分の接客の価値を考える
クレジット決済の人も増えたが現金商売の代表はやはり水商売。お金が飛び交うこの仕事をしていると金銭感覚が麻痺することがある。
1万円の価値は人によって様々だ。
お会計の金額に見合った接客ができたか考えることができないと、お客様をお金だけで計ってしまう。キャバ嬢を安く見るケチは論外だけど。
もちろん飲み屋において気風の良いお客様はお店にもキャバ嬢にも大事にされるのは間違いないが嫁子供がいる中で少ないお小遣いを捻出して来てくださる方もいることは忘れちゃならない。
遣う金額が安かろうと高かろうと、相手にまた来たいと思わせる接客することが飲み屋の初心であり基本だと思っている。
慣れちゃいけない。指名が当たり前と思わない。
慢心は大事なことを見落とす。謙虚さを忘れるべからず。
まとめ
1番最初に記述したように、お客様にただお金を遣わせて自分の売上や給料を上げることが目的になっているのであればそれは仕事の在り方としては間違ってる。
お客様のことを考え、喜ばせることや楽しませること、時間を割いて努力と行動をしてきた結果、売上と給料に必ず変化はあるはずだ。
仕事とは、誰かの役に立つ社会貢献の対価として報酬を得ることであり、水商売もそこに変わりはない。
日頃の自分の行いが証明されるのは自分のバースデー。
海老で鯛を釣ろうとしちゃダメだ。
普段から餌を撒くことを忘れずに、食いついた魚一匹一匹を大事に育てられる子がいつしか育った魚が実はマグロだったなんてこともあるから飲み屋の世界は面白い。